1994年に存在した、教養学部教官有志による「授業研究会」の記録です。
(以下、敬称略)

1994年2月 岡崎、小松、佐藤、高木、宮原を発起人に、「授業研究会」を計画
第1回授業研究会
日時:1994年3月4日(金曜)、17:00-18:00
出席者:小松、宮原、岡崎、佐藤、高木、水野、菅野、山本
会議内容(主な発言)
 高木:シラバスの問題は教育のシステム全体の問題である。
 菅野:アメリカ風の改革の必要。たとえば文章の書き方を1年次でやるべきだ。
 高木:賛成。
 小松、水野:反対。「言うことがないんだから、演習でやればよい。」
 高木:1年次でできる。
 菅野:1年次くらいでやった方がよい。
第2回授業研究会
日時:1994年3月20日(日曜)、11:00-12:00
出席者:小松、宮原、岡崎、佐藤、菅野、山本、高木
会議内容
佐藤先生が「座長」となる。
「シラバス」についての話題交換。
 高木:演習のシラバス(試作)と社会心理学スタディ・ガイドを出す。
 小松:教養課程の授業のシラバスを出す。
 菅野:アメリカ地誌の授業日程を出す。
第3回授業研究会
日時:1994年4月15日(金曜)、10:30-11:50
出席者:菅野、山本、佐藤、岡崎、小松、高木
会議内容:高木の意見プレゼン

共通科目の提案(高木)
教育変革プログラム(高木)
第4回授業研究会記録
日時:1994年4月25日、16:00-17:40
出席者:岡崎、菅野、小松、高木
記録者:高木

会議内容:(敬称略)
 小松より「授業計画案(広域科目、国語学)」が配布された。
 前回報告があった高木私案を中心に議論した。以下の点について全員が意見を交換した。

 1.学期制と全学の授業日程のあり方
 2.高木私案の中の「個人による教育からシステムによる教育へ」という論点
 3.概説・特殊講義・演習・卒論指導の進め方
 4.1年次教育のあり方

 1年次教育のあり方に関連し、菅野が『知の技法』(東大出版会)という本を話題にした。この本の内容を検討すべきとの意向を全員が示した。
 次回は5月16日(月)、16時に開催することを決めた。
第5回授業研究会記録
日時:1994年5月16日、16:00-17:35
出席者:岡崎、菅野、小松、高木、宮原、山本
記録者:高木

会議内容:(敬称略)

『知の技法』(東大出版会)を素材にして1年次生向けの可能な「基礎演習」について討議した。次の点について意見を交わした。
1.『知の技法』の評価
主な意見は以下である。テキストとして使えるかどうか疑問だ。練習問題がないのが難点だ。この本のようなテキストを作ることを考えるべきだ。水準をより下げた方が現実的だ。いろんな分析の方法を教える授業を作ってもよい。
2.基礎演習に盛り込むべき項目
次の意見が出た。モデルや仮説の作り方を取り上げるべきだ。文書の書き方と別の内容を合わせて2単位の授業にするのがよい。大型データベースへのアクセス、文献の見つけ方を取り上げるべきだ。
3.情報処理教育の扱い
次の意見が出た。基礎演習と平行して、ビジネス・ソフト(ワープロ、プレゼン・ソフトなど)の使い方を教えるべきだ。機材(パソコン)の確保を考えた方がよい(学生に買わせる、学生に貸す、総合情報処理センターを使う、など)。
4.原典講読について
次の意見が出た。コースごとの原典講読を既習外国語の単位に振り替えるべきだ。原典講読の授業を全学に開放してもよい。原典講読の授業は教養学部生だけを対象にした方がよい。
 次回は5月30日(月)、16時に開催することを決めた。
第6回授業研究会記録
日時:1994年5月30日、16:00-18:00
出席者:岡崎、菅野、小松、佐藤、高木、宮原、山本
記録者:高木

会議内容:(敬称略)
語学の時間と互換できる原典講読、および「基礎演習」(仮称)について意見を交換した。
1.原典講読について
次のような意見が提示された。現在の学生の語学力水準から推して、原典講読の授業を行うのは大変だろう。分野別の英語のテキスト(米大学生用)を原典講読のテキストに使う案も考えられる。講読だけでなく、表現力を養う授業(会話など)を整備する必要がある。英語教官を外国人に入れ替えることを考えるべきだ。英語教官を外国人に教授に入れ替えることには問題が出る。コースで出す原典講読の授業をコースの他の授業と連動させることを考える必要がある。英語については、会話・ビジネス英語に比重を移す必要がある。英語を語学から外して未修外国語を必修にするのがよい。未修外国語を必修化するよりは、英語を会話方面で伸ばすことに力を入れるべきだ。
2.基礎演習について
次のような意見が出た。『知の技法』はサブ・テキストとして使うようだ。4人の教官で一つの基礎演習の授業を行うのが目安だと思う。必修の授業と位置づけることになるだろう。グループ分け(人文/社会)が必要だろう。下手をすると4人がバラバラの内容を話すことになりかねない。モデル構成を軸にして複数の教官がものの見方を示す、という形が考えられる。訓練する項目をハッキリさせることが重要だ。

 次回は6月13日(月)、16時に開催することを決めた。
第7回授業研究会記録
日時:1994年6月13日、16:00-17:10
出席者:菅野、高木、宮原、山本
記録者:高木

会議内容:(敬称略)
授業を改革する上での具体的諸問題について意見を交換した。
1.教官の授業負担の上限について
いくつかのコースで改組後のカリキュラムを具体的に検討した結果、教官の授業負担を1年次教育に振り向けるのは困難である、という意見が菅野、高木、山本から出た。広域科目等の授業負担に関する今後の見込みについて宮原から説明があった。検討の結果、次の2点で出席者の意見が一致した。(1)教官の授業負担の最低基準を少し上げることを考慮してよい。(2)教養部から移って来る教官にも、新たな最低基準程度の授業負担を覚悟してもらう必要がある。
2.2単位制移行について
2単位制(すべての授業を原則2単位で offer する)への移行をめぐって次のような意見が出た。2単位制移行に反対する理由の一つは、2単位制移行によって授業の手抜きができなくなることであるようだ。2単位制を拒む正当な理由は見当たらない。議論の結果、少なくとも2単位制に移行するのが妥当であることで合意を見た。
3.授業の改革に伴う費用負担について
授業の改革に伴う費用の負担について議論した。プリント類の教官負担を少なくするため、印刷機材を購入し資料室で印刷する途を考えるべきとする意見が出た。宮原より、シラバス等の改革に伴う費用は文部省から援助が出る可能性がある、という事情の説明があった。

 次回の日時については、責任者が追って連絡することにした。
第8回授業研究会
日時:1994年7月11日(月曜)、16:00-17:00
出席者:佐藤、菅野、岡崎、高木
会議内容
 雑談に終始した模様。
 佐藤:教養部の心理学の塚本さんと一緒にやる。
 高木:やる気がしなくなった。この勉強会もお開きでいい。
 岡崎:何か答申を出したたどうか。基礎演習などについて。
第9回授業研究会
日時:1994年7月27日(水曜)、14:00-16:30
出席者:佐藤、小松、岡崎、菅野、高木
会議内容
 議題:この会を続けるかどうか。
 高木:「無意味」。このところの学部の動きも、本来あるべき方向とは反対だ。
    本来は厳しくする方向でなければならない。
 菅野:厳しくすることに賛意。