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レポート連絡2

 再提出されたレポート企画書に関して反応しておきます。
 以下、順番は再提出された順(再提出が同時なら私の手元にあった順)です。
   ただしテーマが似ていれば近接させます。

氏名 テーマとコメント
全員共通 全員共通で次のことが気になりました。文献の書き方について
@文献の表記の仕方が、多くの場合いい加減です。授業中に次の文献をあげておきました。他の本でも構いませんから、文献の書き方(氏名、出版年、題名、出版社、など)について、認識しておいて下さい。
   木下是雄 (1981) 『理科系の作文技術』 中央公論社(中公新書)
   木下是雄 (1990) 『レポートの組み立て方』 筑摩書房(文庫本になっている。)
 念のため、私が以前に卒論用に作った文書作成のマニュアル(箇条書き)は、ここをクリックすれば見られます(面倒なので書き直していませんが)。
Aレポートで文献を用いるときは、漫然と引用するのではなく、文献のどの個所をどのように参照したかを明示するようにして下さい。多くの場合、レポートで引用されている文献は読んであるとは思えません。思えるかどうかは、参照をどのようにしているかどうかが本文中に明記してあるかどうかで、だいたい分かります。参照・引用がいい加減なら、読んでいるとは見なせませんので、注意して下さい。
○○○○
(2000/06/11提出)
テーマ:『一般人男性向け漫画』と『オタク男性向け漫画』との攻撃/暴力描写の違い
[コメント]
・『一般人男性向け漫画』として『少年ジャンプ』、『オタク男性向け漫画』として『少年A(エース)』を取り上げるとのこと。『少年A(エース)』って、読んだことないけど『エヴァ』が載ってたやつですね。その通りでよいと思います。たぶん比べやすいでしょう。

・予想される結論について
>  一般向けに比べ、オタク向けは暴力に関わる人間に女性が多い
>  ――むしろ、女性が多数になるのではないか?
>
>  同様、オタク向けは
>  ストーリー上の敵同士の暴力の他に、
>  「ツッコミ」としての暴力が過激なのではないか。

@ここで注意すべきは、「オタク向け」で女性の登場人物が多ければ必然的に女性の方が暴力をふるう度数が増えることです。登場人物数(あるいはコマへの登場度数)をおさえておく必要があります。
A上の「予想される結論」は大原君の印象そのものだと思います。たぶんその通りの結果になる可能性がたかいでしょう。私の説明が不足しましたが、「分析の直接的な結果」と「結論」を区別して下さい。結論とは、上のような結果が何を意味するか?です。例えば「女性向け雑誌」と「男性向け雑誌」で女性の描き方に差があるなら、「女性による女性像」と「男性による女性像」が(特定の方向で)異なっている、という点が指摘できます。そこで、この相違がどのような意味があるか、例えば伝統的性役割ステレオタイプが男性雑誌で強い、といった結論を考えることになります。「オタク向け」と「一般向け」で出た相違にどういう意味を見出すかを、レポートをまとめる時点では考察する必要があります。
・面白そうなので、とりあえずやってみるように心がけてください。
○○○○ テーマ:「キレる」ことによる攻撃について.
[コメント]
・文献を読んで作業をはじめて下さい。レポートをどうまとめるかは後の問題です。ただ、テーマ自体をもう一度考えた方がよいでしょう。
・「テーマの説明」を読むと「キレるとはどういうことか」を問題にしているように受け取れます。
ただ、「キレることは何か」を考えることに意味があるかどうか、私には疑問です。社会心理学ではの攻撃行動を、マスメディアによる脱制止効果のように、通常は「抑制が外れた状態」と考えている。キレるとは抑制が外れることの言い換えでしかない。「抑制が外れる」とは何かと考えるよりも、どういう場合に抑制が外れるかを考えるべきでしょう。(実際、社会心理学はそのように攻撃行動を研究してきた。)
> ◎  予想される結論  「キレる」攻撃と命令に従う攻撃や,いじめなど
> 「社会的な」行為としての攻撃があるのではないか.
この「結論」は、攻撃にはいろいろあります、ということです。まあ、それはその通り、でも当り前です。文献を読みながらテーマ(→結論)を再考するようにして下さい。
○○○○ テーマ:少年犯罪について
[コメント]
今回の企画書では新たに次の参考文献が明記されました。
> 非行原因に関する総合的研究調査 第3回 :総務庁青少年対策本部:1999
> 少年非行の世界:空洞の世代の誕生:清永賢二編:有斐閣:1999
> 少年非行について考える その今日的問題と少年警察の課題:葉梨康弘著:立花書房:1999
 レポートのために文献を調べる作業を始めて下さい。この文献で調べてみて、不十分なら別の文献を調べる、という方針でよいと思います。残念ながら非行に関してどの本がよいか私には分かりませんが、あげられた文献で問題ないでしょう。読んだ文献の中に引用された文献をさらに調べるとよいと思います。また、何らかの白書(『青少年白書』など)がおおまかな統計を正確にまとめていることもあります。
○○○○ テーマ:現代の「いじめ」について
[コメント]
・再提出した企画書の方針で進めて下さい。前回の私のコメントに従って「4層階層論」を中心に考えるとのことです。文献もずいぶんあがっていますので、ちゃんと目を通すなら結構だと思います。
・「予想される結論」がまだ曖昧です(「(2)テーマの説明」と変らない)。文献を読みながら、臨機応変に自分の考えをまとめるようにして下さい。
○○○○ テーマ:フーリガンによる集団暴動の要因を考える
[コメント]
・文献の表記法を確認しておいて下さい(上の「全員共通」の欄を参照)。
・企画書の方向で文献を読み、レポート書きを目指して下さい。
・「群集の凶暴化」という点では、没個人化(訳語は一定しないかも知れないけれど、原語は deindividuation)を調べておいて下さい。一番良いのは英文の教科書(Social Psychology という題の)をまず調べることだと思います。図書館には何冊か入っているはずです。
・「理論的」な点は、考えていることはすべて既存の文献の中で議論されているだろうと思います。学説をまとめることには意味がありますが、理論学説集めではあま面白いレポートにはならないでしょう。このテーマ(フーリガン)で面白そうなのは、例えば失業率が上がると「暴発」の頻度が上がる、ということが言えるかどうかだと思います。ヨーロッパのデータを調べて(経済統計なら図書館にある程度あるはず)みるとよいでしょう。フーリガンの事件数はどこかで分かりますか?
○○○○ テーマ:親が子を殺してしまうことについて。なぜ、高校教師が、成人した息子を殺すまでに至ったのか。
[コメント]
・文献の表記法を確認しておいて下さい(上の「全員共通」の欄を参照)。
・企画書の方向で文献を読み、レポート書きを目指して下さい。以下の点を注意して下さい。
・日本で肉親間の殺人事件がどの程度生じているのか、ごく希な、例外的な事象に過ぎないのかどうかを、犯罪に関する統計(白書類に載っているか簡単)をまず調べるべきだと思います。
・『人が人を殺すとき』自体が重要な文献になると思います。注意して読んでおいて下さい。
・再提出の企画書では浦和市の高校教師による殺人事件を1つだけ取り上げるような書き方になっています。もし1つだけだとすれば、この浦和のケースはレポートの「枕」という扱いになる(議論の主要な根拠にはならない)と思います。「枕」は「枕」としてあってよいと思いますが。
・図式的な「息子殺し」感を既に持っておられるという印象を受けます。が、文献を読み進むうちに考えも変ると思います。臨機応変に自分の考えをまとめるようにして下さい。

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