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社会心理学実習/行動研究法
授業終了後のコメント

 誤算

 この授業には大きな「誤算」がありました。それ自体はうれしいことですが、受講者が予想よりはるかに多かったことです。昨年度のこの授業は6〜8名でした。ただ、あくまで誤算です。通常の講義であれば何人いようと同じです。が、あの授業をあの人数でちゃんとやろうとすると、PCを備えた大きな部屋が必要でした。ソフトの手配もする必要があった。助手が2人は必要でした。
 来年度も同じだけの人数が来ると分かっていれば何とか手立てを考えるのですが、来年は来年でまた人数が読めないところが辛いところです。
 結果として、授業内容が「講義」に偏りすぎた点も反省点です。
 誤算だったのは他の面にもあります。人数が少ない場合、受講者は覚悟して出席するのですが、人数が多くなるほど不覚悟の学生が多くなる、という点です。ただ、現代社会専修で一定の方法論授業をの単位を課している形ですから、この点は仕方のないところでした。


 レポートについて
 
 この授業では6回の宿題レポートを求めています。その合計点で点数をつけました。仮に中身に問題があっても、全部出していれば結果として割と高得点になったと思います。その「素点」を線形変換して成績点にしています。他の授業に比べて授業時間が倍ありましたので、成績は甘めについています。
 5回目のレポートが因子分析の課題でした。最後の授業を休講にしたため、その代わりにもう1つ、6回目のレポート課題を出しました。当初の予定では別の計算だったのですが、その別の計算をやってもらうためには講義が必要でした。そこで、6回目のレポート課題は、別データで同じく因子分析としました。
 特に6回目の課題のレポートを見ながら、因子分析への理解度が低いことが分かりました。半分くらいのレポート提出者は、計算結果はつけたものの結果の意味が分からなかったか、明らかな誤解をしていました。
 むろん、ちゃんとできた人もいます。あのデータ(埼玉市町村データ)だと、私は2因子モデルを採用すべきと思いました。3番目以降の因子は、求めたとしても意味を求め難いと思います。うまくこなした人は、因子の意味をほぼ妥当に推測し、また因子スコアを求めてその因子の解釈を補強していました。
 レポートのポイントは2つありました。第1は、複数の因子数を試し、多くの因子を仮定しても小さな因子(固有値の小さい因子)には意味がない、と悟ることです。第2は、因子スコアまで求めて因子の解釈を補強すべきことです。この第2点については、データの個体が市町村だから意味があることでした。個人の質問紙データの場合は、因子スコアを求めても因子の解釈の点ではあまり意味がありません。どの個体がどのような性質かは、手がかりがないからです。
 レポートには、因子分析の意味が分からない、分かるように授業で説明して欲しかった、という意見もありました。ただ、レポート提出者の中には理解した人もいましたので、授業が拙かったとも思えないのです。分からなかったらその場で質問して欲しいところです。
 因子分析の解説をこのサイトに書こうとも最初考えましたが、止めておきます。ここで不正確なことを書くより、皆さんが適切な参考書を読んだ方がよいと思うからです。因子分析を解説した参考書類は非常に多いです。図書館、本屋で書籍を調べ、気に入ったものを参考にするとよいと思います。

 後期の授業

 この授業の時間(月曜、1・2〜3・4)は統計の授業になります。この授業の後を受けた授業、という位置づけで、元来がセットになっています。例年、前期の授業で懲りて後期の授業は取らない人がかなり出ます。が、この2つの授業で扱う範囲は、基礎事項に入ります。統計の扱いについても、必須事項です。ただ、勉強するかどうかは人それぞれの好みの問題があり、誰にも薦めるべきではないとは思っています。