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社会心理学基礎演習
授業終了後のコメント
 期末レポートについて

 もともと大部のレポートを出すことを求めていませんでした。提出されたレポートは想像した範囲にあったと思います。提出されたレポートについては「前期授業について」で書いたことがほぼ該当していますから、そちらを参考にお考えください。


 テキスト『日本の論点』

 私個人は、授業で使う教材(学生に購入させる書籍)の値段を気にしています。それぞれの授業で、教員がそれほど高くない書籍を買うことを求めたとしても、学生の方は多くの授業に登録しています。なので、金額は馬鹿にならない可能性がある。1学期で学生が使う授業用の学費のトータルを考慮してテキストを選ぶようなシステムが、必要な気がしています。
 アメリカの大学の場合、多くの授業は学生に買わせて損のない水準の本をテキストに指定することが多い。それらのテキストは、部数が出ているので分量の割には概して安い。しかも、テキストを一定期間固定するので、キャンパス内(ないし近く)の本屋では、いったん買った本の買戻しをして、古本を used book として安く売るシステムになっている。書籍に使う金額は日本より多いと想像しますが、無駄がないようにできていると思います。
 さて、この授業でテキストにした『日本の論点2005』ですが、この本は毎年中身を変えて出ますので(年末には『日本の論点2006』が出る)、そういう意味では受講生に買わせたのは申し訳ないです。ただ、多少古くても使えます。いろんなレポートを書くときにも情報源として便利でしょう。授業で読んだのは一部ですが、暇があったらいろんな論点について目を通しておいて損はないと思います。


 授業そのものについて

 私が言うのもまずいですが、この授業は思ったより展開がつまらなかったですね。
 この授業は、サイコロを振って授業をするようなところがありました。まず、どのテーマを選ぶかは受講者の選択によって変わるし、そのテーマで何が問題・議論となるかも受講者にある程度依存します。議論になったとき、その背後で考慮すべき社会心理学的な問題、ないし広く社会科学的な問題に突き当たることがあります。その問題を私が解説して議論を受講者にフィードバックする、というのが可能な、理想的な展開でした。
 しかし展開はつまらなかった。なぜつまらなかったか、とずっと考えています。今思いつくのは次の事柄です。言い訳めいていますが。
 第1に、皆さんの意見にヴァラエティがなかった(ような気がする)。だから特に議論にはならない。
 第2に、受講者の皆さんはほとんど、私に向かってしか話しかけない。お互いの間で意見の相違を表すことを恐れているかのように。だから学生間で議論がない。私としても自分の意見は控えようとしますから、議論に展開がなかった(私との間で議論が展開しても仕方がない)。
 どういう状況になってもある程度形になるように誘導するのが私の仕事でしたが、うまい方法は見つかりませんでした。どうすればよかったか、何か示唆があればお伝えください。


 別のことをすべきだったか?

 この授業は「社会心理学基礎演習」と銘打っています。演習とは普通、専門の文献を読んで議論する、というパタン(通常パタンと呼びましょう)が多いです。ですからこの基礎演習でも通常パタンで授業をしてもよかった。問題は、共通に読む文献として何を指定するか、です。