2005年度調査データについて

 1月16日の授業で、既に授業で使っている2004年度調査データ(q2004.sav)ではなく、2005年度データを使った方がよい、と思えることがありました。念のため、2005年度データの収録変数を説明します。このデータは今年度の卒業論文のために実施した調査データです。同様に「社会心理学入門」の出席者を対象としています。後日、授業中にこのデータも使えるようにします。

● 収録の変数

 F1 性別(1.男性 2.女性)
 F2 学年(1.1年次 2.2年次 3.3年次 4.4年次以降)
 F3 住環境
 Q1 サークル活動への参加
 Q2 アルバイト時間
 Q3 友人数(A.同性の友人 B.異性の友人)
 Q4 異性と交際した人数
 Q5 告白数(A.告白した人数 B.告白された人数)
 Q6 自分の外見(5段階)
 Q7 交際相手の外見
 Q8 外見不安尺度(5段階)―31項目
 Q9 友人関係尺度(4段階)―17項目
 Q10 Big Five尺度(7段階)―60項目
 Q11 承認欲求尺度(5段階)―20項目
 Q12 KISS-18尺度(5段階)―18項目
 Q13 異性不安尺度(5段階)―9項目
 Q14 音楽との関わり
@ 音楽にかける費用
A その費用の生活費に対する割合
B CDの購入枚数
C CDのレンタル枚数
D ジャンル
E 音楽に対して重視するもの
F 好きなアーティスト
G 音楽雑誌の購読の有無
H 雑誌の種類・購入頻度・重視するもの

● 解説

 主な尺度について説明します。なお、q2004.sav と同じ調査項目も多く、その点については省略します。

Q8「外見不安尺度」
Q8では、Dion,K.L.,Dion,K.K.,&Keelan,J.P.(1990)が作成した「外見不安尺度」を使用した。外見不安を測定する31のアンケート項目(社会的不安、評価不安、自意識、自尊心、内気など)である。

Q10 Big Five尺度:欧米で確証されてきたBig Fiveモデルを背景に、形容詞による性格特性語を用いて簡便に性格特性5因子を測定する尺度である。
外向性(Extraversion)…外向性〔説明では外向性―内向性〕
  日常的な表現をすれば「元気かどうか?」の性格側面。これは、人との関係などで、外界に積極的に働きかけるか、そうでないかという次元である。外向性の人は、積極的であり、つねに強い刺激を求め、活動的であるが、極端になると無謀な面が現れる。一方、内向性の人は、控えめで刺激を求めず、物静かな生活を望むが、極端になると臆病・気後れという面が強くなる。
  専門的にはこの性格側面の本質は「活動」性である。
  活動性が高ければ「積極的/無謀」であり,低ければ「控え目/臆病」である。
神経質傾向(Neuroticism)…情緒安定性ともいわれる〔説明では情動性―非情動性〕
  日常的な表現をすれば「感情的かどうか?」の性格側。これは、危険に敏感に反応するか否かの次元である。情動性の人は、敏感であり、ストレスがあると不安や緊張などの感情的な反応をもちやすく、極端になると神経症になることもある。一方非情動性の人は、危険があっても動じることなく情緒が安定しているが、極端な場合は、環状が平板であることになる。
  専門的にはこの性格側面の本質は「情動」性である。
  意志性が高ければ「敏感な/神経症」であり,低ければ「情緒の安定した/感情鈍麻」である。
開放性(Openness to experience)…教養、知性、遊戯性ともいわれる〔説明では遊戯性―現実性〕
日常的な表現をすれば「ひらめきがあるかどうか?」の性格側面。これは、イメージや思考などが豊穣か否かの次元である。遊戯性の人は、遊び心があり、新しいものに好奇心をもって近づく。しかし、極端になると、社会から逸脱し、夢想や妄想をもったりする。一方、現実性の人は、堅実で知に足のついた着実な生き方をするが、極端になると、権威や伝統にしがみつかずにはいられない権威主義者になったりする。なお、この因子については、知能の個人差だと考えている研究者もいる。
  専門的にはこの性格側面の本質は「感性」である。
意志性が高ければ「遊び心のある/妄想」であり,低ければ「堅実な/権威主義」である。
誠実性(Conscientiousness)…信頼性、統制性ともいわれる〔説明では統制性―自然性〕
日常的な表現をすれば「真面目かどうか?」の性格側面。これは、はっきりとした目的や意志をもって物事をやり抜こうとするか否かの次元である。統制性の人は、意志が強く勤勉に生きようとするが、極端になると、強迫的で仕事中毒におちいりやすいとされる。一方、自然性の人は、環境や自分をありのままに受け入れて、仕事にこだわりをもたない。しかし、極端な場合には、無気力で怠惰な人と思われる。
  専門的にはこの性格側面の本質は「意志」性である。
  意志性が高ければ「目的合理的/仕事中毒」であり,低ければ「あるがまま/怠慢」である。
調和性(Agreeableness)…協調性、愛着性ともいわれる〔説明では愛着性―分離性〕 
日常的な表現をすれば「親しみがあるかどうか?」の性格側面。これは、人との関係において、まわりの人に同調しやすいか、自主独立の道をすすむかという次元である。愛着性の人は、共感性や思いやりをもって、人と親和的な協調関係を結ぶ。極端な場合は、人に追従して、集団の中に埋没し、自己を見失う危険をもっている。一方、分離性の人は、自分の独自性を押しだしていくが、極端になると、人に冷淡となり、敵意をもったり、自閉的になるという危険をもっている。
  専門的にはこの性格側面の本質は「関係」性である。
  関係性が高ければ「親和的/集団埋没」であり,低ければ「自主独立的/自閉」である。

Q12「KISS-18尺度」
 Q12では、菊地(1988)が作成した「Kikuchi’s Social Skill Scale 18項目版」を使用した。社会的スキルとは、「対人関係を円滑に運ぶために役立つスキル」と定義されている(菊地、1988)。
  ゴールドステインら(1986)は、若者にとって必要な社会的スキルを大きく6種類に分類した。すなわち、@初歩的なスキル、A高度のスキル、B感情処理のスキル、C攻撃に代わるスキル、Dストレスを処理するスキル、E計画のスキルである。

Q13「異性不安尺度」
 Q13では、富重(1994)が作成したものを使用した。この尺度は、一般的な異性との相互作用に対する不安を測定するものである。