福岡 安則(ふくおか・やすのり)

自己紹介

E-mail: fukuoka@post.saitama-u.ac.jp

 所属:埼玉大学教養学部

 1947年,静岡県生まれ.

 自己紹介するとすれば,あのとき(1968-69年)からもう30年も経ってしまったので,若い人たちには“昔の話”と思われるにちがいないが,ぼくは全共闘(すごいね,ワープロで「ぜんきょうとう」と入力したら「全共闘」と漢字変換がでました)世代に属しています.これまでの人生のなかで,いちばん“楽しかった”のが,東大闘争の数年間でした.

 なにが楽しかったのかといえば,たとえば,それまで苦手だった高いところに登ることができるようになったり(たしか京都大学を訪ねたときなど,バリケード封鎖をした大学の建物の中に入るのに,外壁を縄ばしごを使って登って,といったことが必要とされる場面がありました),ムスケルといって,ガリ版を切って,謄写版印刷を速いスピードでやれるようになったこととか,ビラ配りがうまくなった(ビラ配りにもうまい下手があります)とか,いろいろありました.しかし,なによりも,“自分が変われた”ことが最大の収穫だったのではないか,と思っています.

 ということで,その後,多少の紆余曲折(大学院の修士課程のときに朝日新聞社を受験して落とされたり,修士修了後,兵庫県の農業高校で1年間教師をしたり)をへて,現在は,社会学者として,差別問題の研究をしていますが,自分としては,全共闘時代に思った,“すこしはこの世の中をマシな社会にしたい”という思いの延長線上で,いまの仕事もしているつもりです.ただし,だんだん,カドがとれて,円くなってきたようにも思いますので,志がどこまで持続しているかは,主観的な思いだけでは決められないとも思っています.

 東大闘争後の信条としては,“下げたくない頭ぐらいはいくらでも下げる,しかし,下げてはならない頭だけは下げない”というものですが,ひょっとして,“下げてはならない頭”まで下げているかもしれないと,不安になります.

(以下,この「自己紹介」文は,ヒマができたときに書き続けたいと思っています.)

[主要業績]

(訳書)G. W. オールポート著『心理科学における個人的記録の利用法』培風館,1970

(著書)『マルクスを〈読む〉――疎外の論理と内化の論理』三一書房,1979

(共編著)磯村英一・福岡安則編『解放社会学双書 1 マスコミと差別語問題』明石書店,1984

(編書論文)「偏見の構造とその破砕」江嶋修作編『解放社会学双書 2 社会「同和」教育変革期』明石書店,1985

(著書)『解放社会学双書 3 現代社会の差別意識』明石書店,1985

(共編)似田貝香門・梶田孝道・福岡安則編『リーディングス日本の社会学 10 社会運動』東京大学出版会,1986

(共編著)福岡安則・好井裕明・桜井厚・江嶋修作・鐘ケ江晴彦・野口道彦編『解放社会学双書 4 被差別の文化・反差別の生きざま』明石書店,1987

(共著)福岡安則・辻山ゆき子『同化と異化のはざまで――「在日」若者世代のアイデンティティ葛藤』新幹社,1991

(共著)福岡安則・辻山ゆき子『ほんとうの私を求めて――「在日」二世三世の女性たち』新幹社,1991

(著書)『現代若者の差別する可能性』明石書店,1992

(著書)『在日韓国・朝鮮人――若い世代のアイデンティティ』中央公論社(中公新書),1993

* おかげさまで,この本は多くの読者にめぐまれ,1999年春現在,11版(65,000冊)出ています.

(編書論文)福岡安則・金明秀「在日韓国・朝鮮人のアイデンティティと差別」栗原彬編『講座 差別の社会学 2 日本社会の差別構造』弘文堂,1996

(編書論文)「在日韓国・朝鮮人若者世代のアイデンティティの多様化」梶田孝道編『国際社会学[第2版]――国家を超える現象をどうとらえるか』名古屋大学出版会,1996

(編書論文)「overview 差別研究の現状と課題」井上俊・上野千鶴子・大澤真幸・見田宗介・吉見俊哉編『岩波講座 現代社会学 15 差別と共生の社会学』岩波書店,1996

(共著)福岡安則・金明秀『在日韓国人青年の生活と意識』東京大学出版会,1997

* この本は,文部省の出版助成を受けたため,税込み定価6,090円と高価なものになっています.購入してくださる方は,E-mail: fukuoka@post.saitama-u.ac.jp までご注文ください.著者割引で入手した本を15,000円でお頒けいたします.代金は,郵便振替「福岡安則,001701396920」でご送金ください.

(著書)Translated by Ross Mouer et al., Who are the Japanese?, Japanese Studies Centre Translation Series No.1, Clayton: Monash Asia Institute, 1997.

(著書)Translated by Tom Gill, Lives of Young Koreans in Japan, Melbourne: Trans Pacific Press, 2000.

(著書)『聞き取りの技法――〈社会学する〉ことへの招待』創土社,2000