そもそも、梶島研究室が新座市や野火止用水とかかわるようになっ
たのは、野火止用水の文化的景観選定へ向けての保存計画策定
委員会に、梶島教授が副委員長として参加しており、大学院生も授
業の一環として聴講していたことがきっかけでした。
野火止用水という、人々の生活に密着し、新座市民であれば誰で
も知っているような存在を文化的景観に選定するには、その価値を
市民の方々が広く認識し、理解する必要があるということを、会議や
授業を通して思うようになりました。
しかしその一方で、野火止用水の文化的景観としての価値は、
多くの住民の方に十分に伝わっていないのではないか、とも感じ始
めました。あまりに生活に密着した、ありふれた存在であるだけに、
自分たちの町に古くからある大切なものとして考える機会は少ない
のではないでしょうか。また、その歴史や、生活の中で果たしてきた
役割や、それがどう変遷してきたのかといったことも、あまり知られて
いないように思えます。
こうした人たちに、野火止用水がどのような存在なのかを知っても
らう機会が必要ではないかと考えました。更に、野火止用水が自分
たちにとって価値のある、魅力的な存在であることを確認してもらう
場として、野火止用水を舞台としたイベントの開催を思いつくに至り
ました。