講義概要や隣接する「概要」のページで書いたように、この授業では次をテキストに採用しました。 Baron, R.A. & Byrne, D. (1999) Social Psychology(9th edition). Boston: Allyn & Bacon. この本のハードカヴァー版は日本では1万円近くします。が、本屋に問い合わせたところ international edition は5350円(税抜き)で買えるようです。5千円を超える訳ですからやはり高いともいえます。が、日本語の本でも結構薄い本が3千円くらいするのが実情です。昨年の例でいえば、2単位の授業で使った本を指定通りに購入すると5千円を超えました。この本は内容的に優れているだけでなく詳しく書いてあります。また、後期2単位の演習でも同じ本を使うと考えれば、かえって割安になると思います。 他大学の先生(一橋大)にも問い合わせてみましたが、やはりほぼ同じ値段の英語のテキストを学生に買わせている、とのことでした。本のコピィを授業の出席者に配布する、という方法もあるかも知れません。しかし皆さんとしてもちゃんと製本されたものを所持したいと思うのではないかと考えました。こうした事情から、受講者はこの本を自分で購入することを原則とすることにしました。 授業開始の頃には生協の書籍売り場に並んでいるはずです。 以前は、私はよく英語の本を授業で使っていました。が、最近はあまり使いません。その理由の1つは、学生の皆さんが英語の文献を以前より受け付けなくなったことによります。他コース(アメリカ研究コースはもちろん、国際関係論コースなど)では英語の本で相当のページ数を読ませる授業もあります。が、少なくとも現代社会学コースの学生には無理だろう、というのがこのところの「現社的常識」でした。この点はある意味で奇妙でもあります。なぜなら英語を扱う必要性は年々高まっているはずだからです。 英語は書くことや話すことも重要ですが、一番基本になるのは読むことです。実際、日本人がアメリカに留学して一番困るのは多くの分量を読むスピードについてゆけない、ということです。また、所謂「良い大学の学生」と「そうでない大学の学生」の間で一番大きい差は、英語文献を早く読めるかどうかだ、という先生もよくおられます。 英語を読む力をつける最良の方法はより多く読むことです。この英語テキストの中身を多く読むことによって無理なく英語が読めるようになると思います。 上であげた本は同じ著者による同名の本の第9版です。この本をテキストに選んだ理由の1つは、私がこの第3、7版を以前に買っていて、内容をよく参照していたことによります。実は私の「入門」や「概説」の内容の一部は、この本の以前の版を種本(の1つ)としていました。著者は2人とも著名な社会心理学者ですが、同じ人によるこのテキストもよく書けています。正直言って、これだけ広範な内容について詳しくテキストを書ける人は日本にはいないと思います。 部数のある英語のテキストの面白い点は、そのテキストを前提とした教師用のマニュアルや学生用のガイドブックが別に販売されていることです。このことは、アメリカの大学では日本の高校までのような調子でテキストが出来上がっていることを意味します。高校までの教育では日本はアメリカに劣らない(平均的には日本の方が優れている)のに、大学教育では日本が大きく劣る理由の1つが、この辺にあると私には思えます。 私の立場からは、このテキストの内容に多少の不満もあります。集団レヴェル、社会レヴェルの現象に関する記述が相対的に少ないことです。ただこの点は英語圏のどのテキストを買っても同じことです。社会心理学全体が心理学そのものに近づいている面があるからです。しかも欧米では標準的なテキストがカヴァーする領域がほぼ同一ですから(興味があれば自分で調べてみて下さい)、どのテキストを買っても同じ不満が残るように思います。 【関連記載】 → 「みなさんへのメッセージ」の「テキスト事情」 |
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