「現代社会学コースガイダンス」個人資料(
1999.4.14)
福岡担当の授業の受講生へのリクエスト
担当科目と受講にあたっての要望
福岡安則が担当している授業は,共通教育の「現代社会論
a」=専門基礎の「現代社会論A」(前期2単位),専門基礎の「現代社会学コース基礎演習B」(隔年開講,後期2単位),「社会学研究法A」(隔年開講,後期2単位),専門科目の「社会調査法T」(通年4単位),「社会学演習W」(通年4単位),「社会学卒論演習」(4単位),および,大学院の「日本社会論T」(前期2単位),「日本社会論U」(後期2単位)である.
「現代社会論
a/A」は,差別問題の社会学の講義.関心のある学生は,1年次に履修しておくことを勧める.「現代社会学コース基礎演習
B」は,在日コリアン問題にかんする,小説,ルポルタージュ,現代史,社会学的な聞き取り調査,社会学的な質問紙調査の諸作品を読んでもらってのレポートをもとに議論するゼミ.そのことをとおして,社会学的アプローチのイメージを身につけてもらうのが目的.1年次または2年次の履修を勧める.「社会学研究法
A」は,1999年度は開講せず.社会学の古典を読むことをとおして,社会学的な文献の読み方を身につけてもらうことが目的.基本的にゼミ形式.1年生には難しすぎると思うので,2年次または3年次での履修を勧める.隔年開講であるので,注意.「社会調査法T」は,聞き取り調査のやり方を身につけることが目的.夏に,
1泊2日で調査実習をおこなう.2年次に履修しておくことを勧める.3年次でも可.ただし,就職活動や卒論執筆で忙しい4年生には無理.「社会学演習W」
&「社会学卒論演習」.福岡を指導教官として卒論を書きたい学生は,3年次および4年次とつづけて,このゼミをとること(1年生および2年生のゼミ参加は認めない).他の先生たちは「社会学演習」を一定のテーマ,トピックをきめるかたちでやっていると思われるが,福岡のばあいは,もっぱら,卒論執筆のためのゼミとしておこなっている.卒論のトピックとして何を選ぶかは,まったく自由.ただし,福岡担当のゼミをとる学生は,「社会調査法T」および「社会学研究法
A」を履修しておくこと(あるいは,履修すること).ゼミのなかでは,とても,調査のやり方や文献の読み方までいちいち教えられない.また,毎年
2月に,福岡ゼミの「卒論発表会」をおこなう.福岡担当のゼミをとるつもりの学生は,かならずこれに出席して,卒論のイメージをまなんでおくこと.1年生のときから参加しておくことが望ましい.さらに,
3年生の夏に2泊3日の「福岡ゼミ夏合宿」,4年生になった4月はじめに1泊2日の「福岡ゼミ春合宿」,4年生の夏に2泊3日の「福岡ゼミ夏合宿」をおこなう.これらのゼミ合宿に参加することで,「社会学卒論演習」の単位の認定をおこなう.このゼミ合宿は,大学院修了者,大学院生,研究生も合同でおこなう.なお,
4年生のときに,就職活動で忙しいからと,ゼミを頻繁に欠席することは認めない(単位を認定しない,ということ).就職活動で走り回りたい学生は,3年生のあいだに,卒論を半分以上仕上げておくことが条件.これまでに,そうした学生が2人いた.――福岡ゼミの学生のばあい,これまでのところ,大学院進学希望者や公務員希望者が多かった.あるいは,すでに作業療法士の資格をもっていて特別養護老人ホームに就職したり,卒論で調査研究したことを活かして障害者施設や国際協力団体に就職した卒業生もいる.あるいは,あまり遮二無二就職活動をしたようにも見えず,わりとあっさりと就職先を決めてきたり…….大学院の「日本社会論T」「日本社会論U」.受講生のレポート中心のゼミ形式でおこなう.大学院生で,社会学の基礎的な力をつける必要のある学生は,修了に必要な単位として認定されるかいなかにかかわらず,上述の「社会調査法T」(この授業のみ修了に必要な単位として認められる),「社会学研究法
A」,「現代社会学コース基礎演習B」,「現代社会論A」の授業に出て,基礎学力を身につけてほしい.また,大学院では社会学分野を中心に,現在,
22大学院で「単位互換制度」を実施しているので,活用してほしい.
非常勤講師による「社会学特殊講義」履修の勧め
「社会学特殊講義」のうちの数コマは,非常勤講師にお願いしている.講師の顔ぶれは,毎年変わる.社会学の現状は,多様性の一語につきる.現代社会学コースのスタッフだけでは,とうてい,カバーできない.ゆえに,学生諸君ができるだけ多様な社会学にふれるチャンスを保証したいと考えて,毎年依頼する非常勤の先生をチェンジしている.したがって,
1年次から4年次まで,関心のある授業には,そのつど積極的に履修してほしい.とくに,
1999年度前期の「社会学特殊講義Z:ゲイ・スタディーズ」は,ノンケによる講義は別として,当事者によるものとしては,おそらく日本の大学の社会学の講義としてははじめてではないか,と思われる.ぜひ,履修してほしい.
全般的注意事項
(1)
どの授業も出席重視.きちんと出席していさえすれば,評価はともかく単位は保証.無断欠席はしないこと.やむをえず欠席するばあいは,事前に連絡すること(E-mail: fukuoka@post.saitama-u.ac.jp , Tel & Fax: 048−858−3070.電話は留守電になっているので夜中でもかまわない).欠席した授業での配布資料がほしいときは,事前連絡のときに,そのむねを申告しておき,翌日ぐらいには福岡研究室(教養学部
4階)に受け取りにくること.無断欠席したばあいには,他の受講生から借りて,自分でコピーすること.(2)
「現代社会論a/A」の授業を除いて,福岡担当の授業でのレポート,卒論,修論は,すべて,ワープロで書かなければならない.レポート,論文の書き方については,福岡のホームページ上の「レポート・論文の書き方(簡略版)」に従うこと.より細かな規定については,やはり,福岡のホームページ上の「『社会学評論』のためのスタイル・ガイド」(これは,日本社会学会の学会誌のための執筆規定である.福岡が起草委員として現在作成中のものである)を参照すること.URL:
http://www.kyy.saitama-u.ac.jp/~fukuoka/index-j.html(3)
読みたい本を福岡研究室から借り出してよい.ただし,通常,1ヵ月以内に返却すること.遅くとも学期末までには,かならず返却のこと.1998年度後期の授業で,最初の数時間出席した後,履修をとりやめた学生2人が,授業中に貸したテキストをいまだに返却していない.学務の「呼び出し板」でテキストの返却を求める手紙を届けたにもかかわらず…….こういう学生がいることには,いささかショックを感じている.「社会調査法」の実習や卒論のための調査で,福岡研究室からテープレコーダやテープおこしの器械を借り出したばあいも,すみやかに,かつ,きちんと返却すること.
研究者をめざす学生に
研究者の道をめざしたいという学生のばあい,残念ながら,埼玉大学大学院文化科学研究科に進学しても,目的の達成にはなりえない.修士課程までしかないことがネックのひとつになっている.したがって,修士課程から,東京大学,一橋大学,筑波大学,東京都立大学などの大学院を受験することを勧める(博士課程からの外部受験を認めているのは,関東圏では一橋大学と千葉大学ぐらいで,受験生が殺到してしまう).
ぼくが
1992年6月に埼玉大学に来てから,ぼくが指導教官になった学生(院生も含む)のうちで,これまでに,研究者もしくは専門職をめざして他大学の大学院に進学した学生には,一橋大学の博士課程3人,電気通信大学の博士課程1人,東京大学の修士課程1人,国際基督教大学の修士課程1人,がいる.彼ら/彼女らを見ていて実感するのは,研究者になる秘訣はただひとつ,〈あきらめない〉ということである.ただし,〈最大限の努力をつづけながら,あきらめない〉ということである.しかし,道は険しいことは確かである.現代社会学コースの授業を履修しているだけでは,とうてい無理.水準の高い卒業論文を仕上げること,外国語の力をつけること(外国語による社会学の専門書または論文を毎日
2時間ぐらい読むこと.翻訳を脇におくかたちでかまわない.これまで,卒論もしくは修論の出来はいいのに,外国語の力がないからと,院入試で不合格になった学生がいる.がいして,埼玉大学の学生は,語学の力がなさすぎる),また,社会学理論について独学で猛勉強しておくこと(上記の大学院の入試にあたっては,社会学の理論に強い学生が好まれる傾向がみられる).
研究者への道の別コースとしては,協定校への交換留学の制度を活用するという方法もある.
1995年度に,埼玉大学教養学部(文化科学研究科を含む)とオーストラリアのMonash University, Faculty of Arts とのあいだで,学術交流協定(交換留学を含む)を取り結んだが,その第1期の交換留学生のひとり(コミュニケーション論コース所属だった)は,帰国後,東京大学の大学院に進学し,現在,博士課程の学生として研究をつづけている.あるいは,大学院生としてモナシュ大学に交換留学生としていき,帰国後,さらにロータリーの奨学生として,イギリスのエセックス大学の大学院に留学する予定の学生もいる(大学院のときにモナシュ大学に留学し,むこうで抜群の成績をおさめて,モナシュ大学の博士課程に進学する道を切り開くという手もある).