ロシア語を学んだ先輩から

 
Здравствуйте!(ズドラーストヴイチェ、こんにちは)、みなさん。私は埼玉大学4年の寒河江千明(さがえ ちあき)です。私はこの大学でロシア語と出会い、4年間学んできました。4年次にはモスクワで2ヶ月の語学研修にも参加し、今年3月に卒業後、夏から2年間再びモスクワに留学する予定です。入学前はアルファベットすら知らなかった私がロシア人の大学生たちと肩を並べようとしているのです。 

 私は3年次に休学してボランティアしていたのを含め、15ヶ国、計1年2ヶ月を海外で過ごしました。1, 2年次には英語、フランス語も併行してとっていましたが、ロシア語だけは4年間学び続けてきました。いろんな外国語に出会っても、ロシア語を止めなかったのは、ロシア語に特別な魅力を感じてきたからです。そんな魅力あるロシア語をより多くの学生に学んでもらえることを願って、以下ではロシア語の多くのアピールポイントの中から、3つ挙げたいと思います。

 第一に「今後ロシア語の需要が増すこと」が挙げられます。「BRICs(ブリックス)」という言葉を一度は聞いた事があるでしょう。ブラジル、ロシア、インド、中国の英語の頭文字をとったもので、ロシアが今後、世界経済をリードする大国になると予想されているのです。実際、ロシア語を学び始めるビジネスマンが多くなってきていると聞きます。
ロシアは世界一広大な国で国内の時差が11時間もあります。地下資源は石油、石炭、天然ガスなどのエネルギー資源から鉱物資源まで極めて豊富で、しかも、まだ手付かずの場所がたくさん残っています。今後大きく成長するであろうことは誰の目にも明らかです。

 一方、最近、日本の大手自動車メーカーがこぞって、サンクト・ペテルブルグ郊外に数万台規模の自動車製造工場の建設を始めています。領土問題の解決が遅れる中で、経済や情報が国境を越え、日本人とロシア人はいつの間にか民間レベルで親密な関係になっているのかもしれません。
今のロシア人は日本にかなり良い印象を持っています。2005年8月の調査ではロシア人の72%が日本に好意を持っており、対EUの70%、対中国の65%よりも高く、世界トップだということです。日本人の中にはロシアに対して寒い、暗い、恐そう、危なそう、などマイナスのイメージが強いようですが、それは冷戦時代の影響でしょう。あれからロシアは大分変わりました。今までのイメージを忘れて、現在のロシアを見てみてください。

 第二に、「少人数制の授業で質の高い授業が受けられること」が挙げられます。埼玉大学の外国語の中では最も希望者が少なく、先生とは、ほぼマンツーマンで授業が受けられ、学生のやる気次第では相当の語学力がつけられます。ロシア語の先生方の中には、東京外国語大学で教鞭を執られている方もいるほど、ロシア語教育には定評があり、面倒見の良い先生方ばかりです。そんな先生方にこんな好環境でロシア語を習える機会を逃す手はありません。

 第三に、「ロシア語を勉強していると一目置かれること」が挙げられます。「世界で最も難しい言語」と言われる程、文法が複雑で文字が異質でとっつきにくいため、ロシア語を勉強していることが「教養の高い印」と思われるためです。せっかく高い学費を払って大学に通っているのですから、独学ではなかなか難しいロシア語に取り組んでみるのも悪くないでしょう。それに、難しいといっても、英語と親戚関係にあるロシア語は、最低6年間英語を学んでいて、厳しい受験戦争を潜り抜けてきた学生には、できないことはありません。

 大学でロシア語を学び、ドストエフスキーやトルストイなどの高尚な文学を原書で読むのもいいし、シャラポワのような美しいロシア人の留学生と会話したり、チェーホフの演劇や、チャイコフスキーのバレエを楽しむのもいいでしょう。私のこの文章がきっかけとなって一人でも多くの人がロシア語への旅を始められることを期待します。

 では、シャスリーヴァヴァ プチーСчастливого пути!(いい旅を)