卒論の完成まで
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シュパイアー大聖堂と大聖堂の内陣(ドイツ・ラインラント=プファルツ州) |
【目 標】
◇ 大学生活の総決算として“一定の水準以上の研究論文”を作成すること
* 研究論文では、@自分自身の独自の調査と思考とによって、A従来の研究では言われていなかったことがらを、B史料に基づいて明らかにすることが必要とされる(従来の研究を「ノリとハサミ」で切り貼りしただけのものは研究論文とは認められない)。
* 論文を作成するということは、不定形な自己のアイデアを整理し、資料的に裏付け、客観的な形に呈示することである。このような作業経験は各人にとって、卒業後の進路の如何にかかわらず重要なものとなるはずである。
【完成までの手順】
(1) 第1回哲学歴史総合演習(3年次の10月)までに→卒業論文の方向性(分野・地域・時代・事項など)を見つける。
○各自の卒業論文の方向性について発表し、その内容を200〜300字で提出する。
(2) 第2回哲学歴史総合演習(3年次の10月)
○4年生の第3回卒業論文演習に出席し、報告内容に対するコメントを提出する。
(3) 第3回哲学歴史総合演習(3年次の11月)
○日本史、東洋史、西洋史、考古学の分野ごとに分かれて、卒業論文のテーマの見つけ方、先行研究の調べ方などについて学習する。
(4) 第4回哲学歴史総合演習(プレ卒業論文演習)(3年次の2月上旬)までに→卒業論文のテーマを見つけ、基本的な文献リストを作成する。
○卒業論文のテーマと、それに関する文献一覧作成および研究状況の中間報告を行なう。
(5) 第5回哲学歴史総合演習(3年次の2月上旬)
○4年生の第4回卒業論文演習(卒業論文発表会)に出席し、コメントを提出する。
(6) 第1回卒業論文演習(4年次の4,5月)までに → 具体的なテーマを確定し、詳細な文献リストを完成させる。
○ 自己のテーマを研究する意義について、きちんと他者に説明できるようにする。
○ 自己のテーマに関する基本的な研究文献(指導教員に指示されたもの等)を入手し、読む。
○ 次にその文献に記載された注・参考文献表を手がかりにして、自分なりの文献リストをつくる(概説書から雑誌論文まで)。文献リストに記載した文献については、その所在を確認する(埼玉大学にあるか、もしなければどこで見ることができるか → 「各種図書館情報および文献検索・歴史学関係ホームページ案内」を参照のこと)。
(7) 第2回卒業論文演習(4年次の7月)までに → 卒業論文で解明すべき課題の明確化をはかる。
○ 文献リストに載せた参考文献を収集し、目を通す。先行研究のそれぞれについて、自己のテーマに照らして評価すべき点、不十分な点を整理する。この作業を通して、卒業論文で解明すべき課題を鮮明にする。
○ 先行研究に利用されている史料に、できる限り実際に目を通して、自分が卒業論文で用いる基本的な史料を決定する。
(8) 第3回卒業論文演習(4年次の10月)までに → 卒業論文の構成を組み立てる。
○ 史料を集め、夏休み中に丹念に読み込み、論点を抽出する。
○ 関連する史料全体にも目を通しておく。先行研究の史料解釈の妥当性についても再吟味する。また自分の利用する史料について、史料の信憑性・成立事情・成立年代などを確かめておく。
○ 自分で明らかにできた論点のうち、最も主張したいことを中心に全体の構成を組み立てる。どういう順序で論じれば読み手を納得させられるか考える。
(9) 卒業論文提出(1月10日正午締切)までに
→ 草稿は遅くとも11月末までには書き始める。
→ 結論をまとめる際は、研究の意義が読み手にきちんと理解されるよう工夫する。
*問題設定(「序章」「はじめに」等)と結論の照応関係に留意すること。
*自己の研究のオリジナリティーがどこにあるか、明示・強調すること。
*歴史の流れの中でどのように位置付けられるか、という点にも留意すること。
→ 提出に際しては、形式的・技術的な点にも注意する。
*「目次」・「註」・「文献一覧」を必ず付けること(「論文の技法」を参照)。
*「頁」を忘れずにうつこと。
*外国語の史料には訳文を付けること。
*分量の制限はないが、400字詰原稿用紙換算で50〜100枚を標準とする。
*卒論は下記の様式で作成すること。
縦書きの場合 | 横書きの場合 | |
用 紙 | A4(縦向き) | A4(縦向き) |
字数・行数 | 32字×25行×2段(1600字) | 40字×40行(1600字) |
文字サイズ | 10.5p | 10.5p |
余 白 | 左右30mm、上下30mm 左上ヘッダに名前を入れること |
左右30mm、上下30mm 右上ヘッダに名前を入れること |
(10) 第4回卒業論文演習(卒業論文発表会)(4年次の2月上旬)
○各自が提出した卒業論文の概要を発表し、教員の評価を受ける。その際、卒業論文の概要をまとめたレジュメ(A4用紙4枚以内)を作成すること。
*なお、保存用のため、卒業論文を両面印刷したものを、3月中旬ごろまでに指導教員に提出すること。
【論文を書くための参考文献】
歴史科学協議会編『卒業論文を書く−テーマ設定と史料の扱い方−』山川出版社、1997年
ウンベルト・エコ(谷口勇訳)『論文作法−調査・研究・執筆の技術と手順−』而立書房、1991年
斉藤孝『増補 学術論文の技法』日本エディタースクール出版部、1988年